PARENTS Well-being 子育て夫婦のウェルビーイング・ライフ PARENTS Well-being 子育て夫婦のウェルビーイング・ライフ

大人も楽しめる絵本・映画7選。読み聞かせで広がる親子の時間

子ども向けの作品は大人には退屈。それは、とてももったいない誤解かもしれない。自身のラジオ番組で絵本や映画の紹介をされている、小原信治さんに、親の目線で作品を楽しむ方法と推薦作品を教えてもらった。

 

<目次>
1.人生の追体験を味わいながら子どもの心に種を蒔く物語選
2.「ほら、ここにいるよ」「きみとぼくがつくるもの」
3.「もしもぼくがおとなだったら」
4.「きんぎょがにげた」
5.「Q〜こどものための哲学〜」
6.映画『くまのプーさん/完全保存版』『プーと大人になった僕』
7.「バック・トゥー・ザ・フューチャー」

 

Q. 子ども向けの作品って刺激がなくて面白く感じません。楽しむ見方ってありますか?
A. 最近は子ども向けのようで、読み聞かせる大人にも発見や感動を与えてくれる作品が増えています。

 

人生の追体験を味わいながら
子どもの心に種を蒔く物語選

近年は、子ども向けでありながら、読み聞かせる大人にも発見や感動を与えてくれる絵本が増えています。自分のために本を読む時間すらない乳幼児期には、絵本の読み聞かせが大人自身にとってかけがえのない読書体験にもなることも少なくありません。作品を選ぶ際には、子どもに伝えたいけれどうまく表現できない想いを、代わりに伝えてくれる物語を探すことからはじめてみてはどうでしょう。

子育てとは子どもの心を守り、育むこと。悩んでいれば軽くしてあげたいし、好きなことがあれば応援してあげたい。何より一緒に笑っていたい。そうした親の想いを子どもの心に直接届けてくれる作品には何度も救われましたし、夢を貰いました。子育ては人生の追体験でもあります。私は作品に対する反応を通じて子どもの心に触れることで、大人になって忘れていた大切なことをいくつも取り戻させてもらいました。

子どもと一緒に物語を楽しむ時間は、心が通い合う瞬間です。共に過ごせる時間は長いようで短い。だからこそ一緒に物語を味わいたい。子どもの柔らかな心に種を蒔くように。

やあ!このほしへようこそ

「ほら、ここにいるよ このちきゅうでくらすためのメモ」
「きみとぼくがつくるもの いっしょに みらいをいきていくための けいかく」


作/オリヴァー・ジェファーズ 訳/tupera tupera
各¥1,980(税込)(ほるぷ出版刊)

人は何も知らずに生まれてくる。ここが宇宙の中の地球であること。時間はゆっくりなようで足早に過ぎていくこと。そして二度と戻らないことも。父親である作者が我が子に向けて描いた二作品の言葉は、読み聞かせであると同時に自分への言い聞かせになる。「ぼくがきみのみらいをつくり きみがぼくのみらいをつくっていく」「だいじょうぶ すべてはうまくいくよ」。読み聞かせるたびに、子どもが生まれたときの初心に返れる。

忘れていた
子ども心を取り戻す

「もしもぼくがおとなだったら」


文/ヤニコヴスキー・エーヴァ 絵/レーベル・ラースロー 訳/マンディ・ハシモト・レナ
¥1,540(税込)(文溪堂刊)

大人は好きなことをしているのに、子どもは大人の言う通りにしなければならない。40年前にハンガリーで書かれた本作は、大人が忘れてしまった子ども心を思い出させてくれる。私はどんな父親になるべきか悩んだとき「どんなお父さんがいい?」と子どもに聞いた。親に言われて嫌だったことを子どもには言わないようにした。「もしもぼくが大人だったら子どもと一日中遊ぶんだ」。子どもだった頃の自分の思いに切なさが込み上げる。

人生とは何かを
見つけていくこと

「きんぎょがにげた」


作/五味太郎
¥1,100(税込)(福音館書店刊)

暗闇で揺れる小さな光。心安らぐ場所。ひとりで立つことの心細さと、その先にある自由。何かを見つけることの連続が人生を紡いでいく。その最初となるのが“金魚鉢から逃げた金魚”を見つける本作。小さな指で金魚を差して「いた!」とうれしそうに微笑む姿は、子どもが大切なものを見つけてくるたびに思い返すシーンのひとつになっていく。それは自分が「生まれてきて良かったと思わせてくれるもの」を見つけた瞬間にもなっている。

教育ではなく共育がいい

「Q〜こどものための哲学〜」(NHK Eテレ)


NHK Eテレ「Q~こどものための哲学」シリーズ 第一期(全6巻)
NHK Eテレ「Q~こどものための哲学」制作班 監修
古沢良太 原作
tupera tupera 美術デザイン
各¥1,760(税込)(ほるぷ出版)

子育ては自分を育て直すかけがえのない機会だとつくづく感じる。本作も「なんで勉強しなきゃいけないの?」「お金で本当にしあわせになれる?」「ともだちってたくさん必要?」などの哲学的問い掛けを子どもと共に考える機会をくれる。共に考え、話し合っているうちに気づく。“教育ではなく共育”であること。“子育てではなく個育て”であること。子どもを育てるのが親ならば、親を育ててくれるのもまた、子どもなのだ。

風船は持ってるだけで
幸せになれるよ

映画『くまのプーさん/完全保存版』
『プーと大人になった僕』


ディズニープラスで配信中 © 2025 Disney

好奇心のままに行動するプーさんは幼児そのもの。見ておくだけで我が子を叱りそうになるたびに「プーさんだもんな」とほっこりした気持ちになれる。「プーと大人になった僕」では忙しく働く大人になったクリストファー・ロビンとプーさんの再会に父親になった自分と子どもの姿が重なり合う。子どもはどうして風船が好きなんだろう。そう思うのは、大人になって風船が好きだったことを忘れてしまったせいだと気づかせてくれる。


© 2025 Disney

<番外編>子育てというタイムマシン

「バック・トゥー・ザ・フューチャー」


公開:1985年 配給:ユニバーサルスタジオ
【初回限定生産】バック・トゥ・ザ・フューチャー トリロジー 40th アニバーサリー・デラックス・エディション 4K UHD+ブルーレイ セット ¥19,800(税込)
発売・販売元:ハピネット・メディアマーケティング
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』Film

かつて夢中になった映画を父親の立場で見返したときに、新たな発見と感動があるのも父親になって良かったことのひとつ。もはや説明の必要もない本作はまさにその代表的存在。両親を結婚させる為に未来からタイムマシンでやってきたマーティーに、多くの父親が我が子の未来を重ねるはずだ。子どもの頃の自分がタイムマシンで目の前に出現したような感覚。これが奇跡でなかったら何が奇跡なんだと娘が生まれてから何度思ったことか。

© 1985/1989/1990 Universal Studios. All Rights Reserved. Artwork and Packaging Design
© 2010 Universal Studios. All Rights Reserved.

教えてくれた人

小原信治


アニメ「サムライチャンプルー」などの脚本や「福山雅治の魂のラジオ」(ニッポン放送)などに放送作家として参加。近年は「わたしたちの未来地図」(自然エネルギー財団」などで環境ジャーナリストとしても活動。「渋谷のラジオの惑星」(渋谷のラジオ)ではパーソナリティーも務める。小学生の娘に「未来は変えられる」と伝えるために脚本を書いた「Future Kid Takara」(NHKエンタープライズ)が配信中。


文/小原信治

PARENTS Well-being VOL.77(2026年冬号)より転載

PICK UP
注目記事