男性の育休取得率が約10%上昇 政府の調査から見える共育への課題とは?【厚生労働省】
2026.08.01
2026年7月31日、厚生労働省にて実施された「若年層における仕事と育児に関する意識調査結果」等の公表内で、令和7年度の育児休業取得者の割合が発表された。男性の育児休暇取得率が向上した一方で、調査からは課題も浮き彫りになっている。
男性の育児休業取得者は50.9%
前年度と比較すると、10%上昇
2026年7月31日、厚生労働省の雇用環境・均等局 職業生活両立課は「若年層における仕事と育児に関する意識調査結果」等の公表イベントを開催した。同課は共働き・共育て推進事業「共育(トモイク)プロジェクト」に取り組んでおり、会見ではプロジェクトの推進委員会の羽生祥子氏、平野翔大氏が登壇して、調査結果を報告した。
最初に発表された「育児休業取得率の調査結果」によると、令和7年度の育児休暇取得者の割合は女性が88.5%、男性が50.9%であった。前年度は女性が86.6%、男性が40.5%であることから、特に男性の育児休暇取得者の割合が10.4ポイントと大幅に向上したことが分かる。2022年10月から適用が始まった産後パパ育休取得者も前年度が24.5%であったのに対し、今年度は29.7%となり、こちらも徐々に利用者が増えてきたことが分かった。
一方で育児休暇の取得期間については女性は6ヵ月以上の取得者が9割を占めているのに対し、男性は6ヵ月以上の取得者は1割程度という調査結果が明らかになった。男性の育休取得期間は2週間~3ヵ月が最も多く、6割程度であることから、男性は女性に比べて短期間の育休取得が多いことが伺える。

若年層の6割以上が
「共育」に積極性を示す
続いて「若年層における仕事と育児に関する意識調査結果」では様々な意識調査の結果が発表された。子どもを持つことを希望する若年層の約9割(男性:83.5%、女性:91.4%)は育休の取得を希望し、そのうち7割が1ヵ月以上の育休を希望すること、また若年層の約6割が「自分と配偶者・パートナーが同じくらい主体的に子育てを行いたい」と回答したことなどから、若年層の共働き・共育ての意識の高まりを感じさせる。
特に若年層の男性の8割以上が子育ては自分が主体となりたい、あるいは配偶者・パートナーと同じくらい主体的に行いたい、という意識を持っており、若年層男性の育児への参画の意識の高さが伺えた。
課題が見える
家事・育児分担や働き方
一方で課題を感じさせる調査結果もあった。家事・育児分担割合を調査した結果によると、対等に家事・育児を分担したいという回答が多い中で、実際その通りに家事・育児分担ができていると回答した人は2割に留まった。実際の家事・育児については女性の分担割合が高く、理想と現実の乖離が見える。
また希望する働き方ができている人の割合は子どもが生まれる前と後で、6割超から約5割に減少している。その中でも希望の働き方ができている人は配偶者・パートナーとの間で「勤務予定や繁忙期の共有」「家事・育児分担の定期的な話し合い」を実施していたが、希望する働き方ができていない人は「特に行っていることはない」と回答する人が多く見られた。働き方の改善には家庭内で適切なコミュニケーションを取ることも重要な要素だと感じられた。
また取材班が興味深く感じられたのが「希望の働き方を実現する上でハードルになりそうなこと」を調査した結果だ。その結果によれば「仕事と子育ての両立について上司・管理職の理解が得にくい」「勤務時間を柔軟に調整しにくい」という2点において、男性よりも女性の方が高い割合を示していた。これらは女性の子育て環境に対して環境が整っている職場がまだ少ないからこその結果だと感じられた。
共育プロジェクト推進委員会 座長の羽生祥子氏
共育てを目指す人々が
企業に求めること
仕事と育児の両立に積極的に取り組みたい若年層は、若年層全体と比較すると「仕事と育児を両立できる環境があればキャリアアップしたいと思う」割合が21.9%高い結果となった。また若年層が就職活動時に知りたい情報は育休取得率や出産・育休後の復職率などを知りたい割合が高く、子育てもキャリアも両立させたいという意識を持つ若年層が増えているように感じられた。
また子育て中の人は「業務量の適正化」「上司・管理職の理解促進」「長時間労働・残業の削減」「制度を利用しやすい雰囲気づくり」「家事・育児分担の見直しに関する支援」などを企業や周囲に求められており、会社の経営者たちはそういった視野をより一層求められることが伺えた。
平野翔大氏
「人材戦略の問題だと考えることが必要不可欠」
今回のイベントに登壇した平野翔大氏は共育てが必要という意識に対してその実現が難しいギャップ、夫婦が同程度に家事・育児を分担したいという意識に対して実際は女性に分担が偏っているギャップを指摘。このギャップを「夫婦間の問題」「個人の意識」だけで捉えて良いのだろうか、と問題提起した。この実態は単なる仕事の両立支援の問題ではなく、人材戦略の問題だと考えることが必要不可欠だと語った。
共育プロジェクト推進委員の平野翔大氏
徐々に浸透しつつある男性の育児休暇や共育て・共働きの意識だが、それだからこそ見えてきた課題もある。より良い環境を目指すためには、それらの課題に会社が、社会がどう向き合っていくかが重要になるだろう。
取材・文/PARENTS Well-being編集部
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