育児も仕事も諦めない!計4回育休を取得した2児のパパが語る男性育休のススメ
2026.07.09
男性育休への関心が高まる一方で、「長期間休むのは難しい」と感じる人も少なくない。株式会社オデッセイで働く荒木俊介さんは、育休を4回に分けて取得した。「仕事の合間に家庭があるのではなく、家庭の合間に仕事がある」。そんな価値観で家族を優先する働き方を実践する荒木さんにお話を聞いた。
1.育休で気づいた妻を支えることの大切さ
2.育休4回取得のリアル現実的な理由とは?
3.赤ちゃんより大切だった上の子のフォロー
4.家族を優先する働き方への転換
5.まとめ
育休で気づいた
妻を支えることの大切さ

荒木さんは、長女(2歳9か月)と次女(生後4か月)の2児のパパ。株式会社オデッセイにて人事領域のシステム導入コンサルタントとして働き、2人の子どもの誕生時に育休を取得した。
育休取得を考えたきっかけは、父親向け育児アプリを通じて学んだ出産後の女性の心身の変化だった。「産後の女性は、身体的にも精神的にも大変な状況になると知り、今、自分が優先すべきは仕事より家庭だと思った」と話す。
育休は、子どものためだけでなく、「妻のための時間」でもあると荒木さんは考える。とくに第1子誕生時は、夫婦ともに初めての子育てで手探りの連続だった。授乳やおむつ替え、寝かしつけなど、慣れない育児が続く中で、育児に向き合う大人がもう1人いることの安心感は大きかったという。
「じつは、一番必要だったのは、妻が子どもと離れて過ごす時間だったと思う。育児に関わる大人がもう1人いることで、少しでも1人になれる時間が生まれる。その意味はとても大きかった」
育児は1人で抱え込むものではない。夫婦が協力しながら支え合うことの大切さを、荒木さんは育休を通じて実感したという。
育休4回取得のリアル
現実的な理由とは?

※出典:育児・介護休業法 改正ポイント(厚生労働省ホームページより抜粋)
荒木さんは、「仕事も好きだし、プロジェクトの都合上、長期間、完全に仕事から離れるのは現実的ではなかった」と話す。そこで選択したのが、育休を4回に分けて取得する方法だった。
現在の育休制度では、男性は育休を複数回に分けて取得できる。2022年の法改正によって制度が見直され、仕事や家庭の状況に合わせて柔軟な取得が可能になった。
「育休=長期間休むもの」というイメージを持つ人も多いが、荒木さんは制度を活用しながら、自身の働き方や家庭の状況に合う形を選択した。
また、育休を取得すると収入面を不安に感じる人も少なくないが、荒木さんは人事領域専門コンサルタントである強みを活かし、制度を活用して、自身の家庭や仕事の状況に合わせて取得時期を設計した。

※出典:産後パパ育休(出生時育児休業)|厚生労働省より
育児休業中は申出により健康保険・厚生年金保険料が免除。勤務先から給与が支給されない場合は、雇用保険料の負担はない。また、育児休業等給付は非課税。このため休業開始時賃金日額の80%の給付率で手取り10割相当の給付。ただし、休業開始時賃金日額の上限額がある。
育休中は「育児休業給付金」が支給されるほか、一定の条件を満たせば社会保険料が免除される制度もある。こうした仕組みも活用しながら、無理のない形で育休取得を実現したという。
「出産直後だけでなく、妻が実家から自宅へ戻るタイミングや、仕事の繁忙期との兼ね合いも考慮しながら取得した。柔軟な取得方法があることを知ったことで、育休はより現実的な選択肢になった」
荒木さんは、「権利という言葉はあまり好きではない」と前置きしたうえで、「育休は取って当たり前、という社会になっていけばいいと思う」と話す。
赤ちゃんより大切だった
上の子のフォロー

第2子誕生時に強く感じたのは、長女をサポートする大切さだった。「生まれてきた赤ちゃんの世話より、長女をフォローする必要性を強く感じた」と荒木さんは話す。
長女は当時2歳。妹が生まれたことで、いわゆる“赤ちゃん返り”も見られたという。自分でもう靴を履けるのに「やって」と甘えてくる。できることでも親の手を借りたがる。そんな姿を見て、荒木さんは「親の愛情を確かめている」と感じたそうだ。
そこで育休中は、長女と過ごす時間を意識的につくった。「長女は6時頃に目を覚ますので、11時頃のお昼寝までにたっぷり体を動かして遊ばせる必要があった。夜ぐっすり眠れるように、朝から公園へ連れて行くことも多かった」と話す。
赤ちゃんがいる家庭では、大人1人だけで上の子と下の子の両方に十分向き合うのは簡単ではない。だからこそ、育児を担う大人がもう1人いる意味は大きい。「上の子が我慢しなくていい環境を少しでもつくれたことは良かったと思う」と荒木さんは振り返る。
第2子の誕生をきっかけに、赤ちゃんのお世話だけでなく、上の子の気持ちに寄り添うことの大切さを改めて実感したという。
家族を優先する
働き方への転換

現在も荒木さんはリモートワーク中心で働く。朝晩の保育園の送迎から、昼食の支度、急な発熱時の通院にも対応しながら、仕事との両立を続ける。
荒木さんは以前から、「仕事の合間に家庭があるのではなく、家庭の合間に仕事がある」と考えてきた。子どもの予定や家族の時間を軸にしながら、仕事のスケジュールを組み立てている。
現在はプロジェクトマネージャーとして活躍する一方、管理職としてチームのマネジメントも担っており、「上司が制度を利用しないと、部下も使いづらいはず」と話す。子育て中のメンバーに配慮し、会議は送迎時間と重なりやすい朝10時前や夕方16時以降には極力入れないよう心がけているという。
子どもたちと過ごす時間は、仕事では得られない充実感を与えてくれるという。「朝は一緒にお散歩をしながら、保育園へ送っていく。夜は家族で映画を見ることも。今しかないこの時間を大切にしたい。」
まとめ
荒木さんは、「育休は取って当然、の社会になっていけばいいと思う」と話す。育児を通して得られる経験は、子どもの成長を支えるだけではない。家族との関わり方や働き方、自分自身の価値観を見つめ直す機会にもなる。
取材の最後、荒木さんはこんな言葉を口にした。「娘の知らない一面を妻から聞くと、ちょっと悔しい」。それは、子どもと過ごす時間の大切さを誰よりも実感しているからこその言葉だろう。
育休をきっかけに始まった家族との濃密な時間は、働き方そのものを見つめ直す機会になった。子どもの成長はあっという間だ。今しか見られない表情も、今しか聞けない言葉もある。
「後から『あの時もっと関わっておけばよかった』と後悔したくない」。そう語る荒木さんにとって、育休は単なる休暇制度ではなく、家族との時間を育むための大切な選択となった。
育休とは、仕事を休むためだけの制度ではない。家族と過ごすかけがえのない時間を、自分の人生の中にしっかり刻むための時間なのかもしれない。
DATA
株式会社オデッセイ

1997年創業。人事領域に特化したITコンサルティング会社。SAP SuccessFactorsを活用した人事システムの導入・運用支援を通じて、人事DXや人的資本経営をサポートしている。また、社員が仕事と家庭を両立できる環境づくりにも積極的に取り組み、男性育休取得や柔軟な働き方を推進している。
取材・文:脇谷美佳子
編集協力:株式会社オデッセイ
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