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インタビュー

小芝風花さん、吉原光夫さんが思う「信じて待つ」ことの大切さとは?

観客動員数196万人、興行収入27億円を記録した大ヒットアニメ映画の待望の最新作『映画 えんとつ町のプペル 〜約束の時計台〜』が3月27日公開。物語の中心人物を演じた小芝風花さんと吉原光夫さんに作品に込められた子どもたちにこそ伝えたいメッセージを伺った。

<目次>
1.何度も挑戦することが苦手に? 子どもたち伝えたい失敗の価値
2.成功も失敗も体験して成長する 親の課題は「信じて待つ」こと
3.読み聞かせの1時間だけでもいい 忙しい生活に「待つ時間」を

 

何度も挑戦することが苦手に?
子どもたち伝えたい失敗の価値


小芝さんが演じるナギ(写真左)と吉原さん演じるガス(写真右)のラブストーリーが、今作のカギを握る。

――まずは、お二人が演じたキャラクターについて教えてください。

吉原:主人公・ルビッチが迷い込んだ時を司る異世界・千年砦にある不思議な時計台の時計師ガスというキャラクターです。しかも宗家らしいので、時計師の大元をやらせていただいています。

小芝:同じく千年砦に暮らす人に化けた植物の精霊で、深い森にいたのですが、街に興味があって、好奇心がすごく旺盛で、怖いもの知らずというか、天真爛漫なところのあるナギを演じさせていただきました。

――お二人のキャラクターは、本作の物語の中心となるような役どころですが、演じるうえで難しかったことや楽しかったことはありますか?

吉原:僕はめちゃくちゃ楽しかったんですよ。小芝さんと声のお仕事をご一緒するのは初めてだったんですけど、方向性とかいろいろ試しながら、声を変えたり、セリフや表現を変えたりして、セッションして作っていった感じです。予定調和感がなくて、僕は面白い現場だったなと思います。まあ、声を使いすぎてナギの名前を「ナゲエ!」って叫んでいたら、全部カットされてましたけどね(笑)。

小芝:私は他の方と一緒にアフレコすること自体が初めてでしたがすごく楽しくて。1人のときは相手の反応がわからないまま、一方的に表現していましたが、ちゃんとかけ合いをしながら演技できたので、すごくお芝居しやすかったです。

――吉原さんは6歳のお子さんのパパでもありますが、親子で注目して欲しい場面はどんなシーンになりますか?

吉原:発明家のコメット&ウィニーが作った飛行機の試作品で、プペルが飛ぼうとするんですが失敗して。でも、最後にもう一度挑戦するっていう場面ですね。今の子どもたちって、何度も挑戦するっていうことが、苦手になってきているのかなと感じていて。動画やSNSなどの数多くのコンテンツがありますが、多くが成功している状態のものばかりなので、真似をしてもうまくいく想像をすると思うんです。そこでいざ自分でやってみるとうまくいかない。それに対して再チャレンジしようっていう力があまり湧かず、すぐ諦めてまた別のコンテンツに興味を持っていかれる。子どもにもう一回挑戦する力をどう湧かせてあげたらいいのかというのは結構、課題だと思うんですよね。なので、あのふたつのシーンはすごく僕は好きだなと思って。

――失敗したらすぐ辞めて、それが癖になって、最初から失敗しそうなことやらなくなったりしますからね。

小芝:そのシーンのコメット&ウィニーの「今回はうまくいかないパターンを見つけることができた。これは成功じゃ」っていうセリフ、あれいいですよね。失敗したことが、ただの失敗じゃなくて、次のステップにつながることだっていう。この作品は、本当にさらっと大事な言葉とかが溢れているんですよ。


発明家のコメット&ウィニーの飛行機はまだ試作品。1度目のフライトは失敗してしまうが、コメット&ウィニーの改良の努力とプペルの勇気によって、飛ぶことに成功する。

吉原:確かに。もしかしたら今の子どもの多くは、失敗できたってことに価値を見出せなくなってきているのかもしれないですね。

――失敗を恥ずかしいことと捉えてしまったり。

吉原:そうそう。なんか失敗っていう言葉がもうね、呪いみたいな感じになっちゃって。

小芝:大人になってからそれを払拭するのって結構大変ですよね。余計に恰好つけちゃうというか。

――おっしゃる通りです。足を踏み入れないから空間も狭まっちゃって。子どものうちに慣れていってほしいところですね。ちなみに小芝さんが印象に残ったシーンは?

小芝:ナギがガスにピアスを返そうするけど受け取らないシーンです。あれ、ズルいですよね(笑)。普段はふざけているのに、急に本気トーンで「また返しに来て」って言うあの感じ、あのギャップがいいなって。関係が進んでいっても、口説きにかかってる感じが全くないというか、ちょっと不器用ながらお互い友達の延長線上で、ほのかな恋心が隠れてる感じがすごくいいなって思います。「早くくっつけよ!」っていう感じが私は好きですね(笑)。あと、ガスが照れながら「時計台に来いよ、夜の12時に。まだ見たことないだろ、12時の鐘が鳴った時の千年砦を」と、デートに誘ってくれる時のあの不器用さも、なんかいいなって。

成功も失敗も体験して成長する
親の課題は「信じて待つ」こと

――今作のテーマは「信じて待つ」こと。製作総指揮・原作・脚本を務めるお笑いコンビ・キングコングの西野亮廣さんが20代前半に体験した、相方・梶原さんが失踪した時に戻ってくるのを待った経験からの着想ということですが、お二人が「待つ」ことで何かが好転したという経験はありますか?

小芝:私は効率的に動くのが好きな方で、現場でもなるべくスムーズに進む方法を考えるタイプ。あまり「待つ」ことをしていなかったのかもと思ったんです。ただ、お芝居でなかなか監督と嚙み合わなかったりして、何度も演じている俳優さんを待っているときに急かすってことは当然しないんです。それって「相手の感情が出るのを信じて待っているってことなんだ!」っていうのに気づかせていただきました。

吉原:僕、6歳の子がいるんですけど、子どもにとっても待ってあげるってことはすごく大事なのかなって思います。人間って本当駄目だなと思うのは、大人と同じようにやらせることが正解だと思っちゃって、自分でやっちゃったほうが早いと思っちゃう。それはある意味、信じて待っていないじゃないですか。

小芝:例えば、私たち大人が靴履かせたほうが早いじゃないですか。でも、ちょっと待って、履けた時の「できた!」っていう成功体験を積み重ねることが大事なのではって思います。

吉原:成功体験も失敗体験も途中で大人が取っちゃうから、両方ともできないですよね。この作品のテーマじゃないですけど、待つことによって、失敗も成功も体験させることが大事な気がします。

――では、プペル全体のテーマのひとつでもある「信じること」とは何だと思いますか?

吉原:さっき言ったみたいに「信じているから待てる」っていうことがあると思うんです。待てないってことはどこかで信じきれてない。だから子どもの時間を父親の僕が奪ってしまう瞬間って、いまいち信じきれてない時。それよりも自分のスケジュールとか、今日はこういう1日にしなければならないみたいなことに縛られているだけで、本当はそこを待ってあげるってことで子どもは何かやれるのかなって。そう思って、いま反省しました(笑)。

小芝やっぱり信じられないと夢はみれないというか。子どもの頃って、ヒーローでも宇宙飛行士でも、将来こうなりたいという夢を信じて、そのためにどの道を進むとか、人生を選択すると思うんです。その夢を信じてあげられずに「危ないから無理だよ」って言ってしまうと、小さい子たちにとっては怖いものに感じてしまう気がします。大人たちも最初はみんな好奇心旺盛だったはずなのに、現実を学んでいったことで、夢を広げるアドバイスができなくなる。怪我をしてほしくないからこそ、ちっちゃい小石も避けて歩かせたくなりますが、私はいろんな道があるんだよっていうのを提示できる大人になりたいな。

――本当にそうですよね。でも、失敗したらアウトな場面もあるじゃないですか。そこまでいかないバランスが大事な気がします。

吉原:難しいですね。大人側の大きな課題ですよね。

小芝:私たちの世界が広くないと、子どもたちに広い世界を見せてあげられないし。それこそ信じてあげないと、怖いことを避けさせちゃうから。乗り越えられる方法をアドバイスしたいです。

読み聞かせの1時間だけでもいい
忙しい生活に「待つ時間」を

――大人側はどんな心構えでいるべきだと思いますか?

吉原:失敗例を見ない世の中になっているし、失敗した人に対しての非難もすごいじゃないですか。失敗を恐れるのは、親の責任だけでもない気がするんですよね。そういう中で、信じて失敗する経験をどう促すかっていうのはすごく難しい。しかも今、忙しくて時間が足りない人が多いと思うんです。うちの子が通っている幼稚園は預かり保育があるんですけど、走って幼稚園に迎えに来る親御さんもいて。その後、夕飯を作って寝かしつけてってやっていると思うんです。だから生活に「待つ」っていう時間すらない人たちが結構多いと思うんですよね。

でも、時間がない、待つことに対して生産性がない、って思ってしまうと、多分何の意味もない人生になってしまうような気がするので、そこにちゃんと価値を持つように家族で話し合って、明確化してもいいのかなって思います。自分の気持ちのさじ加減で「今日は待つ、今日は待たない」っていうのは、子どもにとってはすごく混乱することだから、例えば、夜に本を読む時間とか寝かせるまでの時間は、何か一緒に作ったりして「待つ」ことを心がける時間にするとか。1時間でも2時間でも、しっかり計画して時間を決めてしまえば、忙しくてもできるようになるのかもしれないなって。

小芝:私は子どもがいないので偉そうなことは言えないんですけど、親は子どもが産まれてはじめて親になるので、親という立場では子どもと同年齢だと思うんですよね。6歳の子どもがいたらお母さん歴お父さん歴も6年。だから、できてない、待てないっていう自分を責めることじゃないと思います。その自分への責めが余計に焦りになって、よりコミュニケーションが取りづらくなっちゃうのかなって思うので。「転んじゃったね。痛いけど、じゃあどうやって同じ失敗しないようにしようか」っていうことを一緒に考えるような、同じ目線に立つのでもいいのかなって思います。

吉原:素晴らしい! 本当はいらっしゃいますか、お子さんが(笑)。

小芝:いやいや(笑)。経験談ではないから理想論でしかなくなっちゃうんですけど。

吉原:尾木ママ先生とお話ししている感覚です(笑)。でも地に足ついた意見のような気がして、まさに親御さんたちはそこにぶち当たる。自分を責めて、その責めが焦りになって、下手すると暴力の方とかにいってしまう人だっていると思うし、まさにそうだなと。

小芝:なんか自分も子どもと同じ年齢だ、お母さん歴お父さん歴一緒だからっていうので、甘やかしていきたいです。未来の自分を。

――最後に、本作の見どころと、パパ・ママへメッセージをお願いします。

吉原:この映画は、子どものために時間を割くっていうよりも、足を運んだ親御さんのための時間であったりもするような気がします。本当に全ての人が楽しめる作品になっているので、作品のテーマを感じてもらい、帰りに親子でご飯食べながら、あそこ良かったねとか、会話の時間にしていただけたら嬉しいなと思います。

小芝:とにかくキャラクターが個性的でみんなかわいいんです。映像もスクリーンで見るとすごいきれいで壮大で、見ているだけで目が奪われるというか、楽しんでいただけると思います。失敗してももう一回チャレンジする姿を、自然と作品の中から得られると思うので、ぜひお子さんにも見てほしいですし。お母さんお父さんたちは、きっとルビッチと自分たちを重ねて感じることがあると思うので、日々の忙しさを忘れて楽しんで見ていただきたいなと思います!

DATA

『映画 えんとつ町のプペル 〜約束の時計台〜』3月27日(金)全国公開!

⽇本アカデミー賞受賞、国内動員196万人の大ヒットを記録した西野亮廣さんのベストセラー絵本が原作のオリジナルアニメ『映画 えんとつ町のプペル』。原作累計発⾏部数は80万部を突破し、歌舞伎、バレエ、ミュージカルなど広がり続ける「プペルワールド」から待望の映画最新作が公開。前作同様、製作総指揮・原作・脚本を西野亮廣、監督を廣田裕介、アニメーション制作をSTUDIO4℃が担当。前作で遠くに⾏ってしまった大切な友達・ゴミ人間のプペルに、少年ルビッチがもう⼀度出会うまでの物語。世界を魅了した“信じる⼼”が再び贈り出す、感動の冒険ファンタジー。

【ストーリー】
大切な親友プペルを失い、悲しみに暮れていた少年・ルビッチ。しかし、信じて待つことを諦め、前に進みだそうとしていた彼はある日、時を支配する異世界“千年砦”へと迷い込んでしまう。時を刻まなくなった時計は処分されるこの世界で壊れてないのに、11時59分で止まっている不思議な時計台があった。ルビッチが元の世界に戻る唯一の方法は、「止まってしまったこの時計台を動かす」こと――。相棒モフと共に時計台の謎を追うルビッチはやがて、100年間約束を信じて待ち続ける男・ガスと出会い、人に化けた植物ナギの叶わぬ約束の物語を知る。ルビッチがもう一度“信じる勇気”を取り戻したとき、ハロウィンの夜に奇跡が起こる。

出演:永瀬ゆずな 窪田正孝 / MEGUMI 小芝風花 吉原光夫 土屋アンナ 山寺宏一 藤森慎吾 伊藤沙莉 東野幸治 錦鯉 森久保祥太郎

製作総指揮・原作・脚本:西野亮廣 
監督:廣田裕介 
アニメーション制作:STUDIO4℃
原案:「チックタック 〜約束の時計台〜」にしのあきひろ著(幻冬舎)
配給:東宝・CHIMNEY TOWN

©西野亮廣/「映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~」製作委員会

PROFILE

小芝風花(こしば・ふうか)
1997年生まれ。大阪府出身。2012年のドラマ「息もできない夏」で俳優デビュー。2014年の初主演映画「魔女の宅急便」でスクリーンデビューを果たし、第57回ブルーリボン賞・新人賞、第24回日本映画批評家大賞・新人女優賞を受賞した。今回の映画では、人に化けた植物の精霊ナギを担当。憧れの世界へとやってきて身寄りのない子どもたちと暮らし始めた好奇心旺盛で気が強く歌が得意な女の子を演じている。

吉原光夫(よしはら・みつお)
1978年9月22日生まれ。東京都出身。1999年、劇団四季に入団し「ライオンキング」等に出演。退団後、2011年のミュージカル「レ・ミゼラブル」では、日本公演歴代最年少で主演ジャン・バルジャンを演じた。2021年のミュージカル「えんとつ町のプペル」ではプペル/ブルーノを演じ、25年版では演出も担当。今回の映画では、異世界にある巨大な時計台に住む時計師ガスを演じている。二児の父親。


文/小櫃謙 写真/藤岡雅樹 【吉原光夫さん】スタイリング/伊島れいか ヘアメイク/和田しづか 衣装:Yohji Yamamoto POUR HOMME(問/ヨウジヤマモト プレスルーム 03-5463-1500)【小芝風花さん】スタイリング/ 小川未久 ヘアメイク/菅野綾香

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